以前の課題(根元から理解させる)
- 何をやっているのかを説明する
- なぜそうなるのかを理解させる
- そのうえで、自分の手で組み立てさせる
- 正しい教え方ではある。理解してから動かすと応用が利く
よくある質問 › 課題がコピペだけで進むので、本当に身になっているか不安です
選ぶだけで勝手に動く。「これ、頭を使っていないのでは」という違和感に、まとめて答えます。
結論を先に書きます。頭を使っていないのではなく、頭を使う場所が変わりました。
2026年9月から、#ユニコスクール の課題は、この変化を前提に作り直しています。
インストラクションをコピペして、A〜Eの選択肢を2回ほど選ぶ。すると何かができていて、勝手に動き出す。
自分でプロンプトを組み立てる工程がありません。考え込む時間もありません。
この体験をした人の反応は、だいたい2つに割れます。「すごい、勝手に動いた」と、「これ、頭を使っていないのでは」。
このページは、後者の違和感に答えるために書いています。
以前の課題と、今の課題の違いです。
変えた理由は1つ。Opus 5.5(Claudeの上位モデル)が来たからです。
モデルの性能が上がると、人間側の最適な立ち位置が変わります。今回は、立ち位置が1段上がるレベルの変化でした。
だから課題も1段上げました。
これまでのスクールの主戦場は3段目でした。Opus 5.5で、4段目をやったほうがよくなりました。
| 段階 | 内容 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 最も根元 | プログラムを自分で書ける | 言語の知識、実装力 |
| その次 | AIに計画させ、全部理解した上で書かせる | 設計力、レビュー力 |
| その上 | 自分でプロンプトを書いて書かせる | 言語化力、指示の設計 |
| さらに上(新) | コピペしていたら勝手にできていた | 選ぶ力、量をこなす体力 |
3段目が主戦場ではなくなった理由
3段目が有効だったのは、モデルが指示の質に強く依存していたからです。同じことをやらせるにも、書き方で結果が大きく変わった。だからプロンプトを磨く価値がありました。
いまは、その依存度が下がっています。雑に投げても意図を汲んで動く場面が増えた。つまり、プロンプトを磨いて得られる差分が小さくなりました。
差分が小さいところに時間を使うのは、投下先として効率が悪い。4段目でやることは、選ぶことと、数をこなすことです。考える時間が減るので、同じ時間で扱える件数が桁で増えます。
農業にたとえると、関わり方には段階があります。農業そのものを作る。苗を植える。種をまく。
普通に考えると、丁寧に育てた苗10本のほうが良さそうに見えます。だが、今の環境ではそうなりません。
苗は1本ごとに手間がかかるので、まけるのはせいぜい10本。種はシャワーのようにまけるので、1000個まけます。
成功率は10分の1なのに、結果は10倍。そして重要なのは、この30個の中身が均一ではないことです。
苗を10本植えるとき、人は「育ちそうなもの」を選んで植えます。つまり、自分の予想の範囲内にあるものしか植えません。
種を1000個まくときは、選別しません。だから「これは無いだろう」と思っていたものも混ざる。そして当たるのは、たいてい後者です。
自分の予想の範囲内で当たるものは、他の人も予想しています。予想の外にあるものだけが、差になります。
生放送でユニコ🦄が話した、もう1つのたとえです。
どうやれば営業ができるようになるか、どうやればモテるようになるか、という話のとき。「こういう話をしたら営業が取れます」「相手の趣味の話をしたらモテます」ということではなくて、相手がなぜそう考えるか、どういうことをされたら人は喜ぶか、という仕組みを理解した方がいい。
でも、本を読んで人生や人間関係がうまくいくかというと、やらないじゃないですか。だから僕は、いろいろ経験した方がいいと言っています。10本の苗を植えるよりも、1000個の種をまいて、情報のシャワーを浴びて、いつか芽吹くたびにいろんな経験をする方がいい。
人間関係を学ぶために「いろんな人と会ってください」と言っても、1日に100人、1000人の壮絶な人生を経験するのは難しい。僕のコピペは、「1日1本、映画を見ましょう」と言っているようなものです。
壮大な人生や人間関係の機微を2時間にギュッと収縮した映画を見る。体系的な説明書ではないけれど、こういう感情の機微があって、こういうストーリーがあって、こういう人はこうするんだ、という人生の疑似体験ができる。だから僕のコピペは、映画を見ましょう、ということだったんです。
生放送より(要約)
1本のコピペ課題は、1本の映画です。
仕組みの説明書を読むのではなく、AIに何を任せるとどうなるか、という体験を2時間ぶん圧縮して浴びる。それを何本も重ねると、説明されなくても「こういう時はこうなる」が見えてきます。
1000個の経験は、やり込んだ10本や、仕組みを理解した1本よりも価値がある。これが今回の設計の前提です。
何が上手くいって何が失敗するか。この感覚は説明では身につきません。100回やるとなんとなく見えてくる。1000回やると見た瞬間に分かる。これは理解ではなく蓄積で、蓄積は回数でしか作れません。
どれが当たるかは事前に分かりません。分かるなら最初からそれだけをやればいい。分からないから数を出す。発信でも同じで、どの記事が伸びるかは出すまで分からない。だから量を出す人が結果的に勝ちます。
仕組みを深く理解した1本は、その仕組みが変わると価値が落ちます。そして今、仕組みは半年単位で変わっている。一方で1000個やった経験は、道具が変わっても残ります。深さは陳腐化し、量は陳腐化しません。
選ぶだけで動くので、頭を使っていない気がする。この感覚は正直で、自然なものです。だが、旧時代の基準で測っています。
これまで「頭を使った」と感じていたのは、時間がかかって、苦労した感覚が伴う瞬間でした。
難しい問題を時間をかけて解いた。分からないところを調べて理解した。自分で組み立てて動かした。
ここが厄介なところで、苦労した感覚が強いほど成長した気がします。だが、実際に成長したかどうかは別の話です。パソコンで難しい操作を覚えた時間は、道具が変われば消えます。苦労の量と、残るものの量は比例しません。
新しい基準では、頭を使うポイントが3つに移動しています。
何を選ぶか。どこに向けてまくか。出てきたものをどう評価するか。
つまり、作る作業から、決める作業に移った。頭を使わなくなったのではなく、上流に移動したということです。
理解から入ると、何のためにやっているのか分からないまま進み、途中で止まります。先に動くものを見ると「これがこうなるのか」が分かり、そこから逆算して理解が入ってきます。
最初の1個目がいちばん重い。選ぶだけで動く形にすると、1個目が今日終わります。1個目が終わると、2個目のハードルが一気に下がります。
1000個やるつもりなら、1個5分で終わる設計でないと成立しません。だから、体験を軽くする必要がありました。
受け取る側の話に落とします。3周でいいです。
どの段階でも、止まらないことがいちばん大事です。
分からないところが出てきたら飛ばす。うまく動かなかったら次に行く。1000個まく前提なら、1個の失敗は誤差です。
自由記述の課題は「これを作ってみましょう」で終わるので作るのが簡単です。選択肢の課題は、どの分岐を用意するか、どの組み合わせでも動くか、選んだ結果がちゃんと違う出力になるか、を全部設計してから渡します。
受け手が考えなくて済むぶんを、作り手が先に考えている。1000人が1回ずつ考えるより、1人が1回考えて1000人に配ったほうが、総量として効率がいいからです。
量を出せば必ず良い、というわけではありません。
1個目に時間をかけすぎる。分からないところで止まる。記録を取らない。完璧に理解してから次に行こうとする。
いちばん多いのが最後の1つです。1個目だけでは理解できないことのほうが多い。3個やって初めて共通点が見え、10個やって初めて例外が見えます。理解は後からついてきます。先に数をこなしてください。
同じ構造が、技術の歴史の中で繰り返されています。
レイヤーが上がるたびに、同じ議論が起きました。
機械語で書いていた時代に高級言語が出て、「こんなものを使ったら本当の理解ができない」と言われた。高級言語の時代にフレームワークが出て、「中身を知らずに使うのは危険だ」と言われた。そして今、AIが書くようになって同じことが言われています。
機械語を書ける人がいなくなったわけではありません。だが多くの人は上のレイヤーに移動して、そこで成果を出した。上に移動しなかった人は、選択肢が狭くなった。
今回だけが例外になる理由はありません。そして重要なのは、移動のタイミングが早いほど有利ということです。全員が移動してからでは、差になりません。
種をまき続けろ、という話ではありません。苗に戻るタイミングもあります。
| 状況 | やり方 |
|---|---|
| まだ当たりが分からない | 種。数を出す |
| 当たりが見つかった | 苗。作り込む。安定させる。他の人でも使える形にする |
| 毎日使うようになった | 苗。精度を上げる。7割を9割にすると毎日の手直しが消える |
| 他人に渡す | 苗。自分は例外を知っているが、他人は知らない |
| また分からなくなった | 種に戻る |
深い理解が不要になったわけではありません。順番と比率が変わっただけです。
以前は理解してから動かす順番で、理解に8割、実行に2割。いまは動かしてから理解する順番で、実行に8割、理解に2割でいい。理解に使う2割は、実行の中で自然に発生します。
昔は下から順に積み上げるしかなかった。いまは上から入って、必要になったところだけ下に降りればいい。降りる先が明確なので、効率がまったく違います。
送信、支出、公開、削除。一度やると戻せないものは、数を出す対象にしません。顧客に納品するもの、法的な文書、金額が絡む計算も、7割では出せません。
種でまくのは、自分の手元で完結して、失敗しても戻せるものに限ります。この線を最初に引いておくと、安心して数を出せます。種まきは目的ではなく、判断に時間を回すための手段です。
ここまで読んで残りやすい疑問に、短く答えます。
つきます。ただし、量をこなした場合に限ります。1回選んで終わりなら何も残りません。100回選ぶと、選択肢を見た瞬間に結果が予想できるようになる。その予想が当たるようになったら、力がついています。
順番の問題です。先に理解しても、使う場面がないと忘れます。先に使って、必要になったときに理解すると定着します。応用が利くようになるのは、後者のほうが早いです。
1000個は比喩で、まく回数の桁の話です。同じ課題を違う選択肢で何度もやる。自分の業務に当てて何度もやる。1日3個で年間700個を超えます。1個7分の設計なら1日20分です。
前の形が合う人もいます。それは否定しません。ただし前の形は1件あたりが重いので、量が必要な局面では不利です。理解を深めたいなら前の形、経験の数を増やしたいなら今の形。根元から理解したい方は 最終課題「自分の課題をAIと最後まで解決する」で、コピペなしの実戦に進めます。
また設計を変えます。半年単位で最適な立ち位置が動く、を前提として受け入れておいたほうがいい。特定の道具の使い方を覚えるのではなく、「いま最適な立ち位置はどこか」を判断する感覚を持つほうが長持ちします。
半分は当たっています。作る工程では確かに考えていない。だが、考える場所が移動しただけです。説明で納得させるより、結果を見せるほうが早い。半年後に、まいた量の差がそのまま結果の差になります。
自分の中の違和感は、記録を見返して処理してください。1ヶ月前にできなかったことが今できているか。記録があれば、感覚ではなく事実で判断できます。
各課題の最後にある理解チェック(70点で合格)と✉️次の人への置き手紙を使ってください。自分の言葉で「どこでつまずいて、どう解決したか」を書けたら、それが身についた証拠です。
まずは1周、何も考えずに最後まで通すところから。